犬の甲状腺機能低下症の治療は甲状腺ホルモンの分泌が低下するので不足するホルモン剤の投薬と獣医師の指導の下での食事制限が中心になります。
食事制限というと制限ばかりでつらいイメージですが食べてはいけないものを制限するだけでなく不足しがちな栄養素を補う必要もあるので、犬の甲状腺機能低下症の食事のポイントや手作りごはんのレシピ、獣医師が認めるロイヤルカナン・ヒルズ・みらいのドッグフードといったおすすめの療法食もご紹介します。
※知りたいことだけをご覧になりたい方は下記の目次をご活用ください。
甲状腺機能低下症を抱える犬に対する食事療法のポイント
犬の甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンが不足している状態であり、食事はこの状態を管理するために重要な要素です。以下に、犬の甲状腺機能低下症に関する食事のポイントを詳しく説明します。
甲状腺サポートの療法食
犬の甲状腺機能低下症の食事は療法食の利用が便利です。これは、甲状腺機能をサポートするための特定の栄養バランスに調整されたドッグフードのこと。※最適なものを後述します。
高品質なタンパク質
甲状腺機能低下症の犬の食事には高品質なタンパク質が含まれていることが重要です。食事に鶏肉、牛肉、魚などの良質なタンパク源を提供しましょう。
低ヨウ素食
犬の甲状腺機能低下症の食事は、甲状腺ホルモンの不足に関連しておりヨウ素の摂りすぎは症状を悪化させる可能性があるため、ヨウ素の含有量を制限する食事を検討してください。
適切な脂質のバランス
脂質はエネルギー源として重要ですが、過剰な脂肪摂取は肥満を考える可能性があるため、バランスの取れた脂質の食事を提供しましょう。
栄養補助食品(サプリメント)
獣医師の指導の後に、食事とは別で必要に応じてビタミンやミネラルのサプリメントを検討することがあります。
適切な摂取カロリー
犬の甲状腺機能低下症では体重を管理し、肥満を避けるため適切な食事でカロリー摂取を確保しましょう。
定期的な獣医の観察
犬に甲状腺機能低下症がある場合、定期的な獣医師の診察が非常に重要です。食事管理を行いながら症状を観察し治療の調整が必要な場合には計画的に対応できます。
犬の甲状腺機能低下症は複雑な疾患であり、個々の犬に合った食事計画を立てるために、獣医師と緊密に協力することが重要です。
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犬の甲状腺機能低下症の食事で食べてはいけないもの

キャベツの写真
食事管理の参考のため、甲状腺機能低下症を発症した犬の食事でが食べてはいけないものについてご紹介します。
高ヨウ素の食品
犬の甲状腺機能低下症では甲状腺の機能が低下しているため、ヨウ素を多く含む食事を摂取することで甲状腺への負担が増えてしまいます。 食べてはいけないものの例として、海藻類(昆布、ワカメなど)、海産物(カニ、エビ、魚卵など)が挙げられます。
芋類
芋類にはシアン化物を含むことがあります。シアン化物は甲状腺機能に影響を与える可能性があり、特に甲状腺機能低下症の犬が食べてはいけないものです。例として(ジャガイモ、サツマイモなど)※蒸す茹でるといった調理をして少量であればメリットあり。
大豆製品
納豆などの大豆製品は健康に良い食べ物ですが、イソフラボンは甲状腺ホルモンの働きを感じる可能性があるため、甲状腺機能低下症の犬には適量を含む食品を制限した方が良いでしょう。
ブロッコリー、カリフラワー、キャベツ
これらの野菜、ブロッコリー、カリフラワー、キャベツには甲状腺機能を抑制するゴイトロゲンという成分が含まれ甲状腺ホルモンの分泌を抑制するとされており、甲状腺機能低下症の犬が食べてはいけないものになります。
カフェインやチョコレート:
・これらの食品に含まれるメチルキサンチンという成分は甲状腺機能を抑制する可能性があり、特に人間用のものは食べてはいけないものです。
以上が犬の甲状腺機能低下症の食事で食べてはいけないものの例ですが、じゃがいもやさつまいも、ブロッコリーやキャベツなどに関しては適量と調理法を適正にすれば食事に混ぜて与えるメリットが上回ることもあります。詳細は次の手作り食レシピで詳しく説明します。
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甲状腺機能低下症の犬用、手作りフードの食材とレシピ
犬の甲状腺機能低下症むけの食事として、手作りフードのレシピを前述した食事療法のポイントを踏まえ、手作りごはんの食材やレシピの参考例をご紹介します。
手作りフードに適した食べ物
○タンパク質
・豚肉(低脂肪部位)
・鶏肉(皮は取り除く)ささみや胸肉が低脂肪
・トルコ肉
・牛肉(低脂肪)
・魚(無塩・低ヨウ素のもの)
○炭水化物
・ジャガイモ(皮を取り込んで調理:適量)※
・さつまいも(適量)※
・白米
・キヌア(低ヨウ素品)
・うずら豆(低ヨウ素品)
○野菜
・人参
・ほうれん草
・かぼちゃ
・ズッキーニ
・ブロッコリー(適量)※
○脂質
オメガ3脂肪酸を含むサプリメント(フィッシュオイルなど)
※食べてはいけないものとして紹介しましたが適量で茹でるなどすれば悪影響は少なく、ビタミンやミネラルなどを含み消化を助ける働きありメリットが上回ります。
犬の甲状腺機能低下症とキャベツやさつまいも
甲状腺機能低下症の犬に与える食材として、さつまいもやキャベツに注目している方が多くいるようで病気のことを調べていると予測ワード度して「犬 甲状腺機能低下症 キャベツ」「犬 甲状腺機能低下症 さつまいも」などのワードが出てきます。
前述してきたように、キャベツにはゴイトロゲンという成分が含まれ避けるべき食べ物ですが、適量を調理した状態で与えるのはOKです。「さつまいも」については病気に良い食べ物ですが、さつまいも単体が効果的というわけではありません。あくまでも甲状腺機能低下症の犬の食事に対応した栄養バランスが大切です。
ただ、さつまいもは自然な食物繊維であり過度な加工がくわえられていないので食材としてはとても優れています。手作りの食事に使うならこちらのような「無農薬栽培のさつまいも」がおすすめです。
ほかにも、ヨーグルトなどを検討してる人が多いですが、糖分や添加物のはいったものをさけて、少量を食事に混ぜるか、おやつとして考えると良いでしょう。
甲状腺機能低下症の犬に適した手作りフードのレシピ

鶏肉のスープのイメージ画像
犬の甲状腺機能低下症(甲状腺ホルモン不足)には、特定の栄養素を考慮した食事が必要です。 以下にいくつかの甲状腺機能低下症用の手作りごはんのレシピを紹介します。
手作りフードのレシピ① 鶏肉と野菜のボイル
○使う食材:
・鶏肉(皮を取り除いて):1つまたは2つ
・野菜(人参、ほうれん草、かぼちゃなど):少量
・茹で汁や低塩分のストック: 適量
○手作りごはんのレシピ:
・鶏肉を軽くボイルして脂を取り除き、ほぐします。
・野菜を柔らかく茹でて刻みます。
・鶏肉と野菜を混ぜて栄養バランスの取れた食事になります。
食事手作りのレシピ② さつまいもとトウモロコシの粥
○使う食材:
・さつまいも(皮を取り除いて切ったもの):少量
・トウモロコシ(粒だけを取りわけたもの):少量
・白米:適量
・茹で汁や低塩分のストック: 適量
○手作りごはんのレシピ:
・さつまいもとトウモロコシを軽くボイルして柔らかくします。
・白米を炊いて柔らかくし、さつまいもとトウモロコシを混ぜます。
・茹で汁やストックを加えて、ややとろみのある粥にします。
手作りごはんのレシピ③ 魚と野菜の蒸し煮
○使う食材:
・魚(白身魚など):1切れ
・野菜(ほうれん草、かぼちゃ、ブロッコリーなど):少量
・茹で汁や低塩分のストック: 適量
○手作りごはんのレシピ:
・魚を軽く蒸して皮と骨を取り除き、ほぐします。
・野菜を柔らかく茹でて刻みます。
・魚と野菜を蒸し煮して、やわらかな食事にします。
食事手作りのレシピ④ 魚のシチュー
○使う食材:
・白身魚(例:タラヤハダカイワシ)
・サツマイモ
・ほうれん草
・かぼちゃ
○手作りごはんのレシピ:
・魚を蒸し、ほぐします。
・サツマイモ、ほうれん草、かぼちゃを一緒に柔らかく煮ます。
・調味料は加えず、必要に応じて栄養補助食品を組み合わせてください。
手作り食事のレシピ⑤ ターキーとサツマイモのボウル
○使う食材:
・グラウンドターキー肉、
・サツマイモ、
・ほうれん草、
・亜麻仁油
○手作りごはんのレシピ:
ターキー肉を炒め、サツマイモとほうれん草を加えて調理します。
最後に亜麻仁油を垂らして栄養を補完し、冷まして提供します。
手作りの食事をネット通販で購入することもできます。⇒ 自然素材の手作り食
これらの手作りごはんんのレシピは参考であり、獣医師のアドバイスに従って栄養バランスを考慮した食事プランを作成してください。 甲腺機能低下症の犬の場合、特にヨウ素や他の栄養素のバランスに注意を払い適切な治療と栄養補給を行うことが大切です。
手作りフードより簡単な療法食は、安全性が高く栄養バランスも抜群

横になるコーギーの写真
手作りにごはんはご主人の愛情が込められていて素晴らしいですが、一般的には犬甲状腺機能低下症の食事は療法食と呼ばれるドッグフードのほうが安全といえるでしょう。
食事療法食のドッグフードは必要な栄養素や食べてはいけないものなど、食材選びだけでなく調理法によって酸化や変性の知識も必要なので獣医師の指示の下でもミスが起こるリスクがあります。治療と同じくらい大切な食事制限で失敗は許されません。
犬の甲状腺機能低下症に特化した療法食であれば病状に特化した栄養素で構成され量の調節もかんたんです。次は、みらいのドッグフードやロイヤルカナンなど、獣医師が推奨する甲状腺機能低下症犬用の療法食をご紹介します。
国産・無添加の食事療法食:みらいのドッグフード膵臓用
今国内で注目をあつめているのが純国産の療法食、みらいのドッグフードです。病気別に特化した腫瘍、心臓、腎臓、肝臓、膵臓、胃腸、糖尿、結石、骨関節、皮膚、ダイエット用といった11種類をラインナップし、甲状腺機能低下症の犬の食事には膵臓用が適しており、併発しやすいクッシング症候群や高脂血症も同時にケアできます。
漢方薬に使われる和漢食材をふんだんに使用しており免疫系のサポート力、高級シカ肉や鮮魚を使った栄養バランスも絶妙です。また、国産なのでサポートのレスポンスも良く病気用のおやつやサプリメントも動物栄養学に基づいた配慮がされています。
後述するロイヤルカナンやヒルズとの違いは、国産・完全無添加・高栄養といった部分もそうでですが、大量生産ができないためネット通販だけでしか購入できないところです。
フランス製:ロイヤルカナンの甲状腺機能低下症犬むけ食事療法食
ロイヤルカナンのドッグフードは犬や猫の広範囲な病気に対応した食事療法食を販売するフランスの会社で全国の獣医師に推奨され、犬の甲状腺機能低下症では症状にあわせて、ロイヤルカナンの腎臓サポートや消化器サポートなどが選ばれます。
アメリカ製:ヒルズの甲状腺機能低下症犬むけ食事療法食
ヒルズもロイヤルカナン同様で全国の獣医師が認める犬猫の食事療法食のドッグフードメーカーです。ヒルズはアメリカの会社でペットフード店やネット通販でも人気があります。
ヒルズ プリスクリプションダイエット y/dは犬の甲状腺機能低下症の管理に適したドライフード。特別な栄養バランスで甲状腺ホルモンの摂取を制限し、T4(甲状腺ホルモン)レベルをコントロールします。
犬の甲状腺機能低下症に良いとされるサプリメント
甲状腺機能低下症の犬には食事とは別に栄養補助食品(サプリメント等)の活用も推奨されます。獣医師との相談のうえ利用しましょう。
補充が必要な栄養素としては犬の甲状腺機能低下症はビタミンB群(特にB1、B2、B3、B6、B12)。これらのビタミンは不足するとエネルギー産生や神経機能に影響します。正しいビタミンB群の補充を行うことで代謝と健康をサポート。
さらに、ビタミンEです。ビタミンEは強力な抗酸化作用を持ち細胞を守る働きがあります。犬の甲状腺機能低下症はビタミンEの吸収が低下しやすいため、正しい補給が重要です。ビタミンEは抗酸化作用により細胞を守り免疫システムをサポート。
また、亜鉛も補充するといいです。亜鉛は免疫機能や皮膚の健康に必要な栄養素であり、甲状腺機能低下症の犬は亜鉛の吸収が減少する可能性があります。亜鉛のサプリメントを考慮して、健康をサポートできます。
犬が甲状腺機能低下症になる原因や症状、投薬などの治療法について
次に、犬の甲状腺機能低下症の基本的な病気の原因や症状、一般的な治療法を説明します。
原因
犬の甲状腺機能低下症の主な原因は自己免疫性疾患によるもので、免疫系が甲状腺組織を攻撃します。その他の原因には甲状腺癌や遺伝による影響などがあります。また、年齢による影響も考えられ、老犬が発症するケースも多いです。
初期症状
症状には多岐にわたり、初期なら体重増加や食欲不振、末期なら毛並みの悪化、皮膚病、筋肉の冷え、便秘、冷え性、活動性の低下などが含まれる。犬の甲状腺機能低下症が末期になると命にかかわる深刻な症状があらわれます。
おもな治療法について
犬が甲状腺機能低下症を発症すると通常、一生涯の治療が必要です。投薬には合成甲状腺ホルモン(レボチロキシンなど)が使用されます。
獣医師の指導のもと、犬の血液中の甲状腺ホルモンレベルを定期的にモニタリングし、適切な投薬量を調整。特定のドッグフードや手作りフードによる食事療法がいくつかありますが、一般的には甲状腺ホルモン療法と併用されます。
早期診断と定期的なフォローアップが重要で、獣医師のアドバイスに従うことが重要です。
犬の甲状腺機能低下症は適切な治療と食事管理によりコントロール可能な疾患です。獣医師の診察とアドバイスを受け、犬の健康を維持するために協力しましょう。
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甲状腺機能低下症を発症した犬の寿命について

横顔が可愛い老犬の写真
犬の甲状腺機能低下症は、犬の甲状腺ホルモンの不足による代謝異常を特徴とする疾患で、症状は個体によって異なります。病状が重症である場合や他の病気を併発している場合、寿命に対する影響が大きくなる可能性が高いです。
適切な食事療法や治療を受け、甲状腺ホルモンの補充療法が行われる場合、多くの犬は比較的正常な寿命を享受できることが多く余命も通常と変わらないほど長くなり、治療によって症状が改善し、犬の生活の質が向上することが期待できます。ただし、治療が適切でない場合、または他の重大な合併症がある場合、寿命に影響が出ることが多いです。
また、犬の年齢も重要な要素で、甲状腺機能低下症は一般的に老犬によく見られます。年齢に伴う老化も考慮する必要があります。
一般的な傾向としては、適切な治療を受けた場合、多くの犬は通常の寿命を生きることができる可能性が高いです。獣医師と協力して正確な診断や治療計画を立てることが重要です。
まとめ
甲状腺機能低下症犬の食事ポイントや手作りごはんのレシピ、獣医師が認めた療法食について解説しました。繰り返しになりますがひとくちに甲状腺機能低下症といっても症状や原因は個体によって違うため食事管理もそれに合わせたものになります。
正しい投薬治療や食事管理を行うためにも獣医師の診断が必須になるので必ず診察を受けるようにしてください。原因や症状については上記よりも別途詳細にまとめているのでそちらも参考にしてください。

合併症をともなっているならこちらもチェック
甲状腺機能低下症の愛犬が合併症を伴っている場合は基礎疾患との同時ケアが必要です。また、その逆に基礎疾患が原因で甲状腺機能低下症になったのであれば、同じように同時ケアが求められます。
食事療法食を病気別で使い分けられるようにそれぞれ個別に紹介しているので、獣医師に相談しながら組み合わせやすくなっています。合併症があるのであればお役に立てば幸いです。
癌が原因の場合や併発した場合は腫瘍に対応した食事が必要になります。下記に癌の犬の食事について詳しく解説しています。


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