膵炎を発症した犬の食事管理は、膵臓への負担を軽減し回復を促進するために非常に重要なポイントです。急性膵炎の場合にはまず絶食ですが、慢性膵炎でも症状が強いケースでは絶食することがあり、状態が落ち着いてから食事療法を取り入れます。
こちらのページでは絶食あとに行う食事療法の注意点や食事手作りのレシピ、犬に膵炎用に特別に栄養バランスを調整した、膵炎の犬に最適な療法食ドッグフードを厳選して紹介するので、犬の膵炎の食事関連でお役に立てれば幸いです。
※調べたい項目だけを読みたい場合は下記の目次をご活用ください。
犬の膵炎は2種類あります

お座りするチワワの画像
まず、犬の膵炎は慢性のものと急性膵炎の2通りがあり、それぞれについて簡単に説明します。
犬の慢性膵炎について
犬の慢性膵炎は、膵臓に慢性的な炎症反応が生じている状態で、食欲不振、元気低下、下痢、嘔吐などが挙げられます。原因は解明されていませんが、高脂肪食をとっていることがリスク因子となります。治療法ですが、特効薬は開発されておらず、対症療法や食事管理で症状の改善をはかります。
犬の急性膵炎について
急性腸炎は、急に下痢や嘔吐などの症状が現れるもので、原因はウイルスや細菌感染などがあります。治療法は、軽度の場合は自宅で投薬などの治療が可能ですが、重症度が高い場合は入院が必要となります。
膵炎の犬に与える食事のポイント

元気に走る柴犬の写真
食事療法に関しては急性なら絶食後や症状が落ち着いてから、慢性であれば獣医師の判断によるところですが、いずれにしても膵炎を発症している犬は合併症を併発する可能性がたかく、食事には特別な配慮が必要です。まず、膵炎の犬に注意が必要な食事のポイントを説明します。
絶食期間
まず、膵炎の初期治療として獣医による絶食の指示がだされることがあります。絶食期間中は、食事を与えずに膵臓を休ませることで消化酵素の過剰分泌を抑えます。期間中は獣医師の指示に従い、水分は十分に摂取させましょう。
低脂肪食に切り替える
膵炎の犬には、低脂肪食が重要です。 脂肪は膵臓自体に負担がかかるため消化しやすい低脂肪食を選びます。
食事回数は小分けにして回数を増やす
食事は回数を増やし小分けにすることで膵臓への負担を軽減します。膵炎を抱える犬の場合、食事の回数は1日2回~5回くらいが目安です。
消化の容易な食材と低タンパク食を
膵炎の犬には、消化が容易な食材を選ぶことが大切です。主食は消化しやすい炭水化物(米、さつまいも、ジャガイモなど)と低脂肪のタンパク源(鶏肉、七面鳥など)が好ましく、高繊維質な食材も消化を助けるため与えるといいでしょう。
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食べていい野菜について
無理に野菜を与える必要はありませんが与えるなら次のものがおすすめです。ただ、蒸す茹でるなどの調理をし量は少量にしてください。
・さつまいも
さつまいもには野菜のなかでもビタミンやミネラルが豊富で食物繊維も豊富。また、さつまいもには整腸作用もあり胃腸の粘膜保護の役割もはたします。
・人参
抗酸化作用のあるビタミンCやベータカロチンが豊富な野菜。さつまいもと同様で胃腸の調子を整えてくれます。
・ブロッコリー
人参と同様ビタミンCやベータカロチンに抗酸化作用がある野菜です。また、こちらもさつまいものように整腸作用を含んでいます。
・山芋
ビタミンや食物繊維が豊富で粘膜保護や胃腸の調子を整える作用をもちます。
獣医師のアドバイスを聞く
定期的に獣医のアドバイスをうけましょう。犬の状態に応じて食事の量や内容が変更されることがありますが、症状が改善した場合でも食事の制限は必要です。大幅な食事の変更は避け、新しい食事に移行する際には徐々に変更を続けることで犬の胃腸を慣らすようにしましょう。
膵炎を抱えた犬に適した手作り食のレシピ例
手作りで食事を作る場合、前述してきた食事の注意点や、膵炎の犬が食べてはいけないものに注意しながら下記レシピを参考にしてください。
食事手作りのレシピ①.鶏肉と野菜の炒め物
使用するる食材:
・鶏の胸肉(無皮、無骨):250g
・野菜(例:かぼちゃ、ジャガイモ、人参など):200g
・ブラウンライス:100g
・低脂肪の鶏のブロス:1/2カップ
・オリーブオイル:小さじ1杯弱
・鶏肉の消化を助けるための酵素サプリメント(必要に応じて)
手作り食事のレシピ:
・鶏肉を細かく切り、オリーブオイルを使って軽く炒めます。
・野菜を切り、鶏と一緒に炒めます。
・ブラウンライスとブロスを加えて、煮えるように調理します。
・犬が消化しやすい柔らかさになるまで調理します。
・食べる前に、必要に応じて酵素サプリメントを加えて犬の消化を助けます。
手作りの食事レシピ②魚とサツマイモのシチュー
使用する食材:
・白身魚(タラヤハダカイワシなど):250g
・さつまいも:200g
・低脂肪の魚のブロス:1/2カップ
・ホワイトライス:100g
・オリーブオイル:1弱じ
・魚の油を補充するためのオメガ3サプリメント(必要に応じて)
手作りごはんのレシピ:
・魚を細かく切り、オリーブオイルを使って軽く炒めます。
・サツマイモを切り、魚と一緒に炒めます。
・魚のブロスを加えて、シチューとして調理します。
・ホワイトライスを別に調理し、シチューの上に盛り付けます。
・魚の油を補充するために必要な場合は、オメガ3サプリメントを追加します。
手作り食事のレシピ③:鶏肉とサツマイモのシンプルなシチュー
用意する食材:
・鶏胸肉(皮を剥いで2カップ
・玄米または白米:1/2カップ(調理後)
手作りごはんのレシピ:
・鶏胸肉を鍋に入れ、水で煮て脂肪を取り除きます。肉を細かく切ります。
・別の鍋でサツマイモを茹でて柔らかくします。
・鶏の湯を加えた大きな鍋で、鶏肉、サツマイモ、ゼンマイを一緒に煮ます。 水分が蒸発するまで中火で煮続けます。
・最後に、煮えた玄米または白米を加えて混ぜて完成です。
手作りする食事のレシピ④:野菜とトルキーのシチュー
用意する食材:
・低脂肪のトルキー(皮を取り込んで脂肪を減らす):300g
・野菜(カボチャ、人参、ズッキーニなど):200g(調理後にカット)
・ローファットチキンブロス:2カップ
・カボチャピューレ:1/2カップ
・カシューナッツ(粉砕してトッピング用に):少量
手作りごはんのレシピ:
・トルキーを鍋に入れ、水で煮て脂肪を取り除きます。肉を細かく切ります。
・野菜をカットし、ローファットチキンブロスと一緒に大きな鍋で煮ます。
・カボチャピューレを加えて、煮立ったら火を弱め、トルキーを加えてさらに煮ます。
・出来たら、カシューナッツを振りかけて提供します。
この手作りレシピは、低脂肪・高繊維の手作り食で、犬の膵炎のケアに役立ちます。愛犬の健康状態を観察しながら定期的に獣医師のアドバイスを受けて手作り食をあたえてください。
膵炎の犬用に最適な療法食のドッグフード
愛情を注ぐという点で手作り食は素晴らしいですが、栄養バランスは食材や調理による性質変化などの知識も必要となり、ある程度の技能を身につけないとリスクもあります。
しかし、犬の膵炎に特化した療法食であれば栄養バランスや使われる食材も安全なので自信がなければ通販で購入できる療法食がおすすめです。
療法食とは病気用に特別に調整されたドッグフードのことで、獣医師や専門家が監修する食事療法食。膵炎を発症している犬に必要な臨床栄養をふくみ、避けるべき栄養素は制限したものになります。以下は、実績があり一定の臨床効果が実証されている3メーカーです。
みらいのドッグフード膵臓用(国産・無添加)
食事制限だけに着目するのではなく、膵炎の犬がいかに健康的に過ごせるかを考えた89種類の和漢食材や高タンパクな鹿肉や鮮魚、高品質で熱に強いオメガ3脂肪酸を特別な栄養バランスで配合。犬の膵炎に特化した高栄養・高健康の国産療法食です。
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ロイヤルカナンの膵臓病ケア療法食(フランス製)
全国の獣医師が推奨するロイヤルカナンの通販療法食です。ペットフード店やホームセンターでも購入可能。犬の膵炎の症状に合わせ、低脂肪な消化器サポートや腎臓サポートなど、最適なものを獣医師のアドバイスをうけて選択します。量販店やペットショップでも買えるので便利です。
ヒルズの膵臓ケア療法食(アメリカ製)
ロイヤルカナン同様、全国の獣医師がとり扱う有名な犬猫の療法食メーカーの通販。膵炎の犬用に栄養制限をおこないオメガ3など有益な栄養素を配合しています。腎臓ケアや腎臓・心臓サポートなどから最適なものを獣医師と相談して選びます。ロイヤルカナンと同じで量販店やペットショップでも買えるので便利です。
>>ヒルズの膵臓ケアむけ療法食<<
膵炎の犬が食べてはいけないもの

疲れて寝込む犬のイメージ画像
犬の膵炎では、病気によくない特定の栄養素を制限することも重要です。 避けるべき栄養素を考慮し、食べてはいけないものについて以下に解説します。手作り食のレパートリーを増やしたり、おやつを考える際は避けるようにしてください。
高脂肪食な食材
膵炎の犬は消化酵素の過剰分泌により脂肪を消化し辛くなります。 高脂肪食は膵臓に大きな負担をかけるため食べてはいけないものになります。脂身の多い豚肉やラム肉、サーモンなど脂身の多い魚もNGです。
人間の食品
油を含む揚げ物や脂っこい料理、甘いお菓子、チョコレート、アルコールなど、人間の食べ物は特に膵炎の犬が絶対食べてはいけないものです。
生肉や生魚
膵炎の犬は消化能力が低下しているため生の肉や魚を与えることは避けましょう。
消化に悪い食べ物
小麦、大豆、とうもろこしなどは難消化性の食べ物で膵炎の犬は特に食べてはいけないものです。
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膵炎を発症した犬の症状や原因、治療法について
膵炎は犬にとって重篤化しやすいとても怖い疾患の一つで予防や早期の治療が重要になります。食事について検討されてるということはすでに獣医師の診断を受けていると思われますが、基本的な症状や病気の原因、治療法について説明しておきます。
犬の膵炎の症状
・膵炎の犬は、嘔吐、下痢、食欲不振、腹痛、腹部の腫れなどの症状を示すことがあります。
・高熱や脱水症状も一般的です。症状が進行すると、体重の大幅な減少が見られることもあります。
犬が膵炎になる原因
膵炎の主な原因は高脂肪の食事や食べ過ぎ、飼主が与えるアルコール(飲酒)、外傷、薬物、感染症などがあります。一部の犬種や遺伝的関与にも原因に関与する可能性があります。
膵炎を発症した犬の治療法
・膵炎は緊急性の高い疾患であり、早期診断がカギです。
・治療には絶食、静脈内輸液、抗生物質、鎮痛剤などが含まれます。
・犬の体を安定させ膵臓休めます。 重度の症例では入院治療が必要です。
・膵炎の原因に応じて、特別な食事療法を導入します。低脂肪な食事が一般的です。
犬の膵炎は重篤であり、早期の治療が成功の鍵です。症状が速やかに見られる場合は、獣医師の診察を受けることが大切です。膵炎の原因や症状、治療に関する詳細は下記のページで詳しく解説しています。


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まとめ
手作りされる方は食事の注意点に配慮して獣医師と相談しながら、手作りレシピを参考に食事療法を行ってください。
また、膵炎を発症する犬は合併症をともないやすいく他の病気との同時ケアが必要なケースが多いため注意が必要です。下記に併発しやすい病気の食事についてまとめたページがあるのでぜひご覧ください。
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