犬クッシング症候群のサイン!初期から末期症状、治療法一覧ガイド

注射を打つ小型犬の写真 犬のクッシング症候群について

犬のクッシング症候群は、副腎皮質ホルモンの過剰分泌による内分泌疾患で、多飲・多尿、腹部膨満、皮膚病変などの症状が見られる病気で治ることがないと言われています。

ただ、治ることがないにしても初期に発見して適切な治療と食事制限をすれば元気で寿命をまっとうできることも知られる。それでも、症状が出ている犬を放置して末期症状を示すようになると余命は短くなる可能性が高いです。

ここではクッシング症候群になった犬の初期症状から末期症状をそれぞれ説明し、原因や予防、治療法についてもお伝えするので当てはまる場合はすぐ獣医師の診察を受けてください。

愛犬が出す病気のサイン!クッシング症候群の初期症状とは

横たわる柴犬の画像

愛犬が元気に寿命をまっとうする鍵となるのが予防や早期発見です。犬クッシング症候群に関する初期症状は以下の通りですので心当たりが観察できる場合は早めに獣医師に診てもらってもらいましょう。

食欲旺盛

・クッシング症候群により、副腎皮質ホルモンであるコルチゾールが過剰に分泌されると、血糖値が上昇します。 高血糖の状態は脳に飢餓感をもたらし結果として食欲旺盛になるといった症状を伴います。

飲水量の増加

・過剰なコルチゾールは腎臓に影響を与え尿の濃度を下げるため、犬はより多くの水分を摂取する必要が生じます。これによって、頻繁に水を飲むようになります。

頻尿の症状

・クッシング症候群によって腎臓の機能が変化し尿の濃度が低下します。その結果、犬は頻繁に尿を排出する必要が生じます。

脱毛の症状

・クッシング症候群によるコルチゾールの過剰分泌は、皮膚の細胞のターンオーバーを促進します。この結果、毛が抜けやすくなり、脱毛や被毛の薄毛が見られることがあります。

皮膚の変化

・コルチゾールの過剰分泌は、皮膚の免疫機能を阻害するため、皮膚が乾燥してかさぶたや皮膚炎が起こり皮膚病のような症状が出る可能性があります。

腹部の膨張が太るように見える

・クッシング症候群による過剰なチゾールは糖新生という過程を刺激し、犬の体内で比較的な糖が産生されます。この糖分は、脂肪として代謝されない傾向があり太るように。特に腹部が膨らんで太るように見えることがあります。

筋肉の萎縮

・クッシング症候群によるコルチゾールの過剰分泌は、タンパク質の合成を減少させるため、筋肉の質が低下します。これにより体の筋肉量が減少し犬がやせて見えることがあります。

行動の変化

・クッシング症候群によるコルチゾールの過剰分泌は、脳の神経伝達物質に影響する可能性があります。これにより震えるなど犬の行動に変化が起こります。

これらの初期症状が見られた場合は、初期のうちに獣医師の診察を受けることが重要です。 クッシング症候群は進行性の病気で治ることがないと言われますが、初期に発見し治療や食事制限を行うことで治るまではいかなくても犬の健康を維持することはできます。

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すぐに動物病院へ!クッシング症候群が進行した犬の末期症状

皮膚病になった犬の写真

皮膚病になった犬の写真

クッシング症候群が進行して末期に続くと、以下のような重篤な末期症状が現れることがあります。これらの症状は、内分泌系の異常が慢性的に進行し全身的な影響が増加していることを示します。

末期になると犬糖尿病や犬腎臓病犬膵炎や高脂血症などの合併症にも注意が必要で治療や食事療法も難しくなり、余命を意識する段階なので末期症状が現れた場合はすぐにでも獣医師に相談し集中的な治療が必要です。

初期症状とかぶるものもありますが、末期になると症状がきついので、すぐに重篤な状態になることが多いです。

疲労と筋力低下の症状

・クッシング症候群は筋肉の分解を促進し筋力の低下が起こる。犬はうまく立てず足が震えたり、活動力が低下し疲れやすく一日のほとんどを寝て過ごすことになります。

体重の大幅な減少

・副腎皮質ホルモンの過剰分泌により、タンパク質の代謝が乱れ体重が大幅に減少することがあります。

食欲不振

・初期段階で食欲亢進が進むと、食欲不振に陥ることがあります。犬は食事を拒否し、栄養摂取が不足しやすくなります。

嘔吐と下痢

・消化器系への影響が進行し嘔吐や下痢が激しくなることがあります。

皮膚のトラブル

・皮膚は乾燥して健康的でなくなる、慢性的な皮膚炎や黒いかさぶたなどが見られるようになる

意識の障害

・重篤な場合には、神経学的障害が現れ犬の意識が混乱したり震えたり、循環器系や呼吸器系にも同様の事態が起こります。

尿路感染症

・クッシング症候群により免疫機能が低下するため、尿路感染症などの感染症にかかりやすくなることがございます。

血糖値の異常

・クッシング症候群はインスリンの効果を低下させるため、高血糖や糖尿病の症状が起こることがあります。

クッシング症候群が進行して末期になると見るからに弱っているのが分かるはずです。 末期症状が現れた場合は、緊急な獣医師の診察と治療が必要であり、愛犬の苦痛を和らげるためにも症状管理が重要です。

併発しやすい合併症にも対処する

クッシング症候群を発症している犬は、犬糖尿病や犬膵炎、高脂血症や腎臓病などを併発しやすい状態。また後述しますがクッシング症候群の原因にもなる副腎腫瘍(癌)も伴っていることがあります。

あるいはそれらの基礎疾患があってクッシング症候群を発症している場合も少なくありません。獣医師に相談することで合併症を視野に入れた治療や食事制限が可能です。

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犬がクッシング症候群になる原因を知ろう

日陰で休むポメラニアンの写真犬がクッシング症候群になる主な原因は副腎皮質ホルモンの過剰な分泌に関連。 副腎皮質ホルモンは副腎と呼ばれる内分泌腺から分泌されるホルモンであり、体内の多くの生理的プロセスに影響する。専門用語が少し難しく感じますが犬のクッシング症候群の原因は次の3つに分類されます。

脳下垂体腺腫(下垂体依存性クッシング症候群)

脳下垂体は、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)をする分泌部位であり、ACTHは副腎皮質ニコルチゾールの分泌を促進。 脳下垂体が腫瘍によって過剰なACTHを分泌する状態です。過剰なACTHによって、副腎皮質ホルモンの分泌が増加しクッシング症候群が発症します。

副腎皮質腫瘍(副腎依存性クッシング症候群)

副腎皮質腫瘍とは、副腎皮質からコルチゾールを過剰に分泌する腫瘍。これによって体内のコルチゾールレベルが異常に高くなり、クッシング症候群が起きる。副腎皮質腫瘍は脳下垂体腺腫よりも頻度は低いですが、クッシング症候群の原因として重要な要素です。

皮質部過形成(医原性クッシング症候群)

これは、犬が一時的にステロイド薬を投与されるなど、外部からコルチゾールを摂取することによって起こる。効果があるため様々な疾患の治療に使用されますが、長期的な使用は副腎皮質の自然な調節機構を不安定にし副腎皮質の過形成が起こります。

これらの原因により、副腎皮質ホルモンの過剰分泌が起こり、犬のクッシング症候群が発症します。 クッシング症候群は中高齢の犬によく見られる病気であり治ることがないと言われますが早期の発見と適切な治療で元気に余命を過ごすことは可能です。獣医師の診断と管理のもとで犬の健康を守るためのケアが必要です。

クッシング症候群になりやすい犬種や年齢

日陰で休むポメラニアンの写真

クッシング症候群は、特定の犬種や年齢によってはかかりやすい傾向があるとされています。ただ、これらは一般的な傾向であり個々の犬によって異なる場合があることもご理解ください。

犬種による傾向

ポメラニアン、ヨークシャーテリア、ダックスフンド、トイ・プードルなど、犬種がクッシング症候群にかかりやすいとされています。小型犬種の場合、副腎皮質腫瘍や副腎皮質過形成がより一般的であるためです。

年齢による傾向

クッシング症候群は一般的に中高齢の犬によく見られます。特に7歳の犬がリスクが高くなります。これは、年齢とともに副腎腫瘍や副腎皮質過形成のリスクが増加するためです。

クッシング症候群は年齢とともにリスクが高まるため、高齢の犬種にかかりやすいとされますが、全ての​​犬にがそうとは限りません。犬がクッシング症候群にかかるかどうかは、遺伝的な要素や生活環境だけでなく、個人の健康状態にも関連しているため定期的な健康診断や獣医師との相談が重要です。

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動物病院の治療費が払えない場合の対処法

人の場合は健康保険に加入しているので治療費の負担が少なくて済みますが犬の場合はダイレクトな治療費を負担しなくてはいけませんのでそんな高額は払えないという飼主さんも。

血液検査で数値を確認したり、投薬、ましてや手術となると数万円から数十万円かかるので確かに治療費を払えない飼主さんも少なくないはずです。対処法ですが、あらかじめペット保険に加入しておくか、クラウドファンディングで募金を募るなどが考えられます。

代表的なクラウドファンディングサイトには、「Makuake」や「READYFOR」などがあります。プラットフォームを選ぶのは日本国内向けものを選択すると、対象となるサポーター層が広がりやすいです。治療費の目標額を具体的に設定し、その費用が何に使われるのかを説明するページを作成します。診断内容、状況を含めてお伝えすることが大切。

また、初期症状がでて食事ができる状態であれば初回の診療だけを受け食事制限の指導を受けて食事療法や適度な運動で対応することも可能です。治療費が払えないからといって絶望することなく、できることを一生懸命考えてあげることが道を開く第一歩となります。

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犬クッシング症候群の診断はグレーゾーンが多いので複数行う

獣医師の診察を受ける犬の写真

獣医師の診察を受ける犬の写真

犬のクッシング症候群の診断は数値などのグレーゾーンが多く難しい場合があります。 クッシング症候群の診断には、以下のような方法が用いられますが、1つの検査だけで確定診断を行うのは難しいケースがありますので複数の検査を行うことが通常です。

血液検査

・血液コルチゾール(副腎皮質ホルモン)の数値レベルを測定することでクッシング症候群の可能性を評価。 なお、これだけではクッシング症候群かどうかを確定するのは難しい場合があります。

尿検査

・尿中のコルチゾールの代謝物であるコルチゾール/クリエアチニン比を測定。これにより、副腎皮質ホルモンの代謝量を評価しクッシング症候群の可能性を探ります。

低用量デキサメタゾン抑制試験

・デキサメタゾンというステロイド薬を投与し、その後の血液検査でコルチゾールのレベルを測定します。正常な場合、デキサメタゾンの投与によってコルチゾールの分泌が抑制されますが、クッシング症候群では抑制されないことがあります。 なお、この検査だけでも確定診断には適当でないな場合があります。

ハイドロコルチゾン刺激試験

・ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)を投与し、その後のコルチゾールの増加を測定。 クッシング症候群では、通常よりもコルチゾールの増加が抑制されることがあります。グレーゾーンの多いクッシング症候群はこれらの検査を組み合わせて病気の可能性を評価。

犬のクッシング症候群の診断は簡単ではなくグレーゾーンが多いことから獣医師は臨床症状や検査結果を総合的に判断し適切な診断を行う必要があります。場合によっては、治療を開始してその反応を見ることで、クッシング症候群の診断が確定されることもあります。

治療方法について

犬のクッシング症候群の治療方法は、主に以下の3つのアプローチがあります。

薬物療法による治療

クッシング症候群の治療には副腎皮質ホルモンの過剰分泌を中心とする薬物を使用。一般的には、次の2つのタイプの薬が用いられます。

○ミトタン(Mitotane):
・副腎皮質の機能を阻害しコルチゾールの産生を軽減する作用があります。副腎皮質腫瘍によるクッシング症候群の場合に使用。

○トリロスタン(Trilostane):
・副腎皮質でのコルチゾール合成を阻害することにより過剰なコルチゾールの分泌を抑制します。脳下垂体腺腫によるクッシング症候群の場合に使用。

薬物療法は副腎皮質ホルモンの過剰分泌を中心とする効果的な方法ですが、継続的な血液検査の数値を確認しながら獣医師との連携が必要です。

手術療法による治療

副腎皮質腫瘍によるクッシング症候群の場合、腫瘍を摘出手術が検討されることがあります。手術の成功は獣医師の経験と犬の全身状態によって左右されるため、前述した全ての症例に適しているわけではありません。

サポート療法(合併症対策)

クッシング症候群によっておこる他の症状の管理に焦点を当てることも重要です。例えば、皮膚トラブルの治療や抗生物質感染による症状の管理などが挙げられます。糖尿病・膵炎・腎臓病・腫瘍(癌)などの合併症に対する治療や管理も必要となる場合があります。

治療方法は個々の犬の状態によって異なり、正確な診断と獣医師の指導のもと、最適な治療法を選択する必要があります。

食事療法が重要になる場面も多い

犬の状態や治療方法によっては、食事療法が重要になる場合もあります。

○薬物療法を行っている場合:
・薬物療法を受けている犬は、副腎皮質ホルモンのバランスを整えるために特定の栄養素が必要になります。

○手術後の回復:
・副腎皮質腫瘍の手術後は、犬の体力回復をサポートするため豊富な栄養で消化するために良い食事を提供することが重要。

○重篤な副腎皮質ホルモンの異常がある場合:
・クッシング症候群が進行している場合、食事によって副腎皮質ホルモンの影響を抑えようと試みられることもあります。

特に薬物療法を行っている場合は、薬剤の効果や副腎皮質ホルモンのバランスに気を配る必要があり、食事制限についても獣医師の指導を受けることが重要です。

まとめ

犬のクッシング症候群は放置すると短期間で進行し末期症状が現れる可能性があるため、余命を元気に過ごすためにもできるだけ早期の発見や予防が必要です。人間が責任をもって見つけてあげるしかありません。

前述した初期症状を参考にして愛犬の様子を注意深く観察してください。合併症も考慮した食事制限に関しては病気別の療法食や獣医師検索サイトを以下のページにまとめているのでそちらを参考にしてください。

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