犬の高脂血症とは、血液中の脂質(コレステロールやトリグリセリドなど)の濃度が正常値よりも高くなる状態のことです。脂質は細胞膜やホルモンの材料として必要な物質ですが、過剰になると動脈硬化や膵炎などの重篤な疾患を引き起こす可能性があります。犬の高脂血症は、原発性と続発性の2種類に分けられます。
犬の高脂血症の原因
犬が高脂血症になる2種類の原因について、それぞれ詳しくご説明したものが以下です。
原発性(一次性)高脂血症
原発性高脂血症とは、遺伝的な要因や品種的な特徴によって、脂質の代謝や排出に異常がある犬に発症する高脂血症のことです。
原発性高脂血症は、ミニチュアシュナウザー、ビーグル、シェットランドシープドッグ、コリーなどの品種に多く見られます。原発性高脂血症は、生後数ヶ月から数年で発症することが多く、性別や去勢・避妊の有無には関係ありません。
続発性(二次性)高脂血症
続発性高脂血症とは、他の疾患や環境要因によって、脂質の代謝や排出に障害が生じる犬に発症する高脂血症のことです。
続発性高脂血症は、糖尿病、甲状腺機能低下症、クッシング症候群、肝疾患、腎疾患、膵炎などの基礎疾患が原因となることが多く、品種や遺伝的な要因はあまり関係ありません。続発性高脂血症は、中高年の犬に多く発症し、雌犬や去勢・避妊された犬に多い傾向があります。
高脂血症の犬の症状
次は、犬の高脂血症の症状について詳しく説明していきます。
無症状が多い
犬の高脂血症は、無症状であることが多く、飼い主さんが気づかないまま進行することがあります。無症状の場合でも、血液検査で血中脂質の値が高いことが分かります。
また、血清の色が乳白色になることもあります。無症状の犬でも、高脂血症が長期間続くと、動脈硬化や心臓病などの合併症を起こすリスクが高まります。
原因によって症状は様々
犬の高脂血症には、原因によってさまざまな症状が現れることがあります。以下は、高脂血症の犬に見られる代表的な症状とその詳細です。
:膵臓が炎症を起こすことで、腹痛や嘔吐、下痢などの消化器症状が出ることがあります。膵炎は、高脂血症の原因にもなりますが、高脂血症が膵炎を悪化させることもあります。
:皮膚に赤い斑点やぶつぶつができたり、毛が抜けたりすることがあります。これは、血管壁に脂質が沈着して炎症を起こすことで、皮膚の血流が悪くなるためです。
:眼球の白い部分に赤い斑点ができたり、角膜に白い斑点ができたりすることがあります。これは、眼の血管に脂質が沈着して炎症を起こすことで、眼の透明度が低下するためです。
:けいれんや失神、めまいなどの神経症状が出ることがあります。これは、脳の血管に脂質が沈着して炎症を起こすことで、脳の血流が悪くなるためです。
犬の高脂血症の治療
次に、犬の高脂血症のおもな治療法について詳しく説明していきましょう。
食物中の脂質を制限する食事療法が基本
犬の高脂血症の治療の基本は、食物中の脂質を制限する食事療法です。脂質の摂取量を減らすことで、血中脂質の値を下げることができます。食事療法には、以下の点に注意する必要があります。
– 食事の回数や量を一定にすること
– おやつや人間の食べ物を与えないこと
– 水分補給は十分に行うこと
基礎疾患の治療
犬の高脂血症の原因が続発性の場合は、基礎疾患の治療が必要です。基礎疾患の治療には、以下のような方法があります。
– 甲状腺機能低下症の場合は、甲状腺ホルモンの補充剤を与えること
– クッシング症候群の場合は、副腎皮質ホルモンの分泌を抑える薬や手術を行うこと
– 肝疾患や腎疾患の場合は、臓器の機能をサポートする薬やサプリメントを与えること
– 膵炎の場合は、消化酵素の補充剤や抗炎症薬を与えること
基礎疾患の治療によって、血中脂質の値が正常化することもありますが、食事療法と併用することが望ましいです。
犬の高脂血症の予防法
犬の高脂血症の予防法には、以下のような方法があります。
– 適切な体重を維持すること
– 定期的な運動を行うこと
– 高脂肪の食べ物やおやつを与えないこと
– 定期的な健康診断を受けること
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最後に
犬の高脂血症は、無症状であっても重大な合併症を引き起こす可能性があります。飼い主さんは、犬の食事や体重、運動量などに注意して、犬の健康を守ってあげてください。また、犬に異常があれば、早めに獣医師に相談してください。犬の高脂血症は、適切な治療と管理によって、コントロールできる病気です。愛犬との幸せな日々を過ごすために、飼い主さんも一緒に頑張りましょう。
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