犬に多い癌と言えば、悪性リンパ腫や皮膚がん、乳腺癌、消化器のがん、肝臓がん、腎臓がん、膀胱がん、筋骨格系のがん(骨肉腫、関節内のがん)、神経系のがん(脳腫瘍、脊髄腫瘍、末梢神経のがん)と発症部位はさまざまなですが、癌になった犬に共通するのは治療と食事療法を並行して行うことになるという点です。
ただ、犬の癌の食事療法は、獣医師と相談をしながらその時々において最適なものを選択する必要があります。ここでは主に、犬癌全般に言える食事療法のポイントや、初期から末期まで使える手作り食レシピの説明、犬癌の食事療法に特化したおすすめのドッグフードの紹介を行いますので愛犬の癌食事療法について何かしらお役に立てればと思います。
癌になった愛犬に食事療法を行う際のポイント

ドッグフードのイメージ写真
以下に一般的なポイントを示しますが、癌の種類や進行状態、年齢や体重によって適切なアプローチが異なることをご理解いただいたうえでご覧ください。
獣医師との相談
・まずは獣医師に相談し、犬の健康状態や癌のタイプ、進行度に基づいて適切な食事療法を決定しましょう。
栄養バランス
・癌の犬にとって病気に特化した栄養バランスがとても重要。高品質のタンパク質、ビタミン、ミネラル、必須脂肪酸などの栄養素が必要です。専用の獣医食や栄養補助食品も検討してみてください。
高カロリー・高タンパク質
・癌治療中の犬は通常、高カロリーと高タンパク質の食事が必要です。これによって体重減少や筋肉の危機を回避し、治療に対してエネルギーを供給します。
抗酸化物質
・抗酸化物質(ビタミンC、ビタミンE、セレンなど)は、癌細胞の増殖を遅らせる可能性があります。 ただし、過剰摂取には注意が必要。
砂糖や加工食品は絶対NG
・白砂糖や過剰な加工食品、添加物が含まれる食品やドッグフードは避けるべきです。また、獣医師の許可がない限り、人間の食べ物やサプリメントを与えないようにしましょう。
消化のサポート
・癌治療やその副作用によって消化機能が低下することがあります。消化しやすい食事や、必要であれば酵素やプロバイオティクスを使用して消化をサポートすることが考えられます。
摂水量の管理
・癌治療中は脱水症状を防ぐために適切な水分摂取を確保しましょう。
定期的な獣医のフォローアップ
・食事療法を実施した後、犬の健康状態を定期的に獣医師と確認し、調整が必要な場合には対応しましょう。
改めて強調しますが、犬の癌の食事療法は個々のケースによって異なります。獣医師と協力して最適な食事計画を作成し、犬の健康を最優先に考えましょう。
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次は、食事を食べない犬に有効な場合が多い手作り食のレシピについてご紹介します。
犬のリンパ腫など食事療法を手作りご飯の食材とレシピ

さつまいもの写真
リンパ腫など犬の癌に対する食事療法は個別的な状態に合わせて調整される必要がありますが、癌が進行した末期であっても経口摂取ができる状態であれば基本的に食事療法は可能です。
以下に一般的な食事療法の食材と手作りのレシピ例をいくつかご紹介します。
注意: 以下のレシピは一般的なガイドラインであり、手作り食での食事療法を実践する前に獣医師と相談することが重要です。
鶏肉と野菜の煮込みの手作りレシピ
○使用する食材:
・皮を取り込んだ鶏肉(鶏むね肉など):適量
・さつまいもやかぼちゃ、にんじんなどの野菜:適量
・低塩分の鶏や野菜のスープストック:適量
・少量の亜麻仁油(オメガ-3脂肪酸の源):任意
○手作り食のレシピ:
・鶏肉を茹でて皮と骨を取り、食べやすい大きさに切ります。
・野菜を蒸したり茹でたりして柔らかくし、細かく切ります。
・低塩分の鶏や野菜のスープストックで鶏肉と野菜を煮込みます。適宜水分を加えて調整します。
・亜麻仁油を少量加えて混ぜて、犬に正しいサイズを提供します。
魚のスープの手作りレシピ
○使用する食材:
・白魚(タラやサーモンなど):適量
・かぼちゃやスピナッチなどの野菜:適量
・低塩分の魚や野菜のストック:適量
・少量の亜麻仁油:任意
○手作り食のレシピ:
・魚を茹でて骨と皮を取り除き、細かくほぐします。
・野菜を蒸したり茹でたりして柔らかくし、細かく切ります。
・低塩分の魚や野菜のスープストックで魚と野菜を煮込みます。水分を加えて調整。
・油を少量加えて混ぜ、適切な適切な時間を犬に提供します。
さつまいもと鶏肉の手作りレシピ
○使用する食材:
・さつまいも:適量
・鶏肉:適量
・玄米:適量
・低塩分のスープストック:適量
○手作り食のレシピ:
・さつまいもを蒸したり茹でたりして柔らかくし、細かく切ります。
・鶏肉を茹でて皮と骨を取り、食べやすい大きさに切ります。
・玄米を炊き、さつまいもと鶏肉を混ぜます。
・低塩分のスープストックを少量加えて、食べやすい状態に調整します。
これらの手作りレシピは一例であり、獣医師の指示に従って調整することが重要です。 癌の犬の栄養バランスを守るために癌の種類や犬の状態によっては、専用のドッグフード(療法食)や栄養補助食品も検討されることがあります。
末期癌でも希望が持てる療法食のおすすめドッグフード
手作りでの食事療法が難しい方は獣医師と犬の栄養の専門家が犬の癌用に共同開発したドッグフードを活用してみてください。手作り食を食べない場合においても効果を発揮することがあります。
食事療法のポイントでお伝えしたことを踏まえ、癌の犬向けに作られたドッグフードは療法食と呼ばれるもので、全国の獣医師が推奨するののもほとんどがこの療法食ドッグフードです。
療法食のドッグフードにはウェットタイプも用意されており、末期癌で食欲が落ちている場合でも食べやすい工夫がされています。
みらいのドッグフード腫瘍用(国産・無添加)
みらいのドッグフードの腫瘍用は犬の癌に特化した療法食ドッグフードで、和漢食材(漢方食材)を89種類含んでおり、癌で不足しがちな栄養以外にも抗酸化物質やオメガ3脂肪酸をしっかりと配合。免疫を維持するための多品種キノコの配合は東洋医学の流れも汲んでいます。
免疫を維持するための食品は多岐にわたりますが、免疫を刺激し続けることにより起こる「免疫枯渇作用」に対応しているのはみらいのドッグフードくらいでしょう。多品種キノコの配合を毎回微妙に変えることで免疫が枯渇することを防ぎます。栄養バランスも絶妙で、癌の食事療法では珍しい、食事制限というよりも栄養たっぷりと表現するほうがあっているかもしれません。ウェットタイプもあります。
ロイヤルカナンの療法食ドッグフード(フランス製)
獣医師の多くが処方するロイヤルカナンは定番の療法食ドッグフードです。癌に特化したものはありませんが、獣医師が診断しロイヤルカナンのラインナップの中から最適なものを組み合わせて処方します。
ネットだけでなくホームセンターやペットフード店にも並ぶ人気の療法食ドッグフードで、ネームバリューも高く実績もあるので安心して利用できます。缶詰のウェットタイプあり。
ヒルズの療法食ドッグフード
ヒルズは、ロイヤルカナンと同じく獣医師の取り扱いが多い療法食ドッグフード。ホームセンターなどで気軽に手に入るのも同じで病気だけでなく犬の健康維持食としてもヒルズは人気があります。
ヒルズはまた、ロイヤルカナンと同じように癌に特化した療法食はありませんが、獣医師が診断のうえ犬の症状や個体になったものをヒルズのラインナップからチョイスして教えてくれます。缶詰ウェットあり。
癌に効くサプリメントのおすすめはあるか

元気に走る柴犬の写真
犬の癌に関して効くサプリメントでおすすめがあるかどうかですが、癌の種類や段階、犬の健康状態によって異なるため、獣医師のアドバイスに基づいて選ぶことが必要です。
以下に、一般的に考えられるいくつか効くサプリメントと言われているもので、おすすめをいくつか紹介しますが、使用する前には必ず獣医師にご相談ください。
おすすめ①オメガ-3脂肪酸:
・オメガ-3は炎症を抑制し、免疫機能をサポートする可能性があります。魚油や亜麻仁油などのサプリメントを検討することがあります。
おすすめ②抗酸化物質:
・抗酸化物質は細胞の酸化ストレスを軽減し、発がんリスクを軽減する助けとなる可能性があります。ビタミンC、ビタミンE、セレンなどのサプリメントが考えられます。
おすすめ③免疫サポートサプリメント:
・免疫機能を強化するためのサプリメントも検討されます。例えば、ベータグルカン、シロキノル酸、プロポリスなどがあります。
おすすめ④L-カルニチン:
・L-カルニチンはエネルギー産生や心臓の健康に関与するアミノ酸であり、癌治療による体力の低下を補うために使用されることがあります。
おすすめ⑤CBDオイル:
・一部の飼い主や獣医師は、CBD(カンナビジオール)オイルが癌症状の緩和に適応する可能性があると考えています。
おすすめ⑥消化サポートサプリメント:
・ 癌治療によって消化不良が起こった場合、消化酵素やプロバイオティクスを含むサプリメントが検討されることがあります。
おすすめ⑦紅豆杉のサプリメント
・代替え療法で使用される伝統的な薬用植物です。科学的には不明な点もおりますが末期癌の犬で効果があったとの口コミもネットにあがっています。
これらのサプリメントは最も一般的な例であり、個別の状況によって選択しなければいけません。おすすめのサプリメントは以下にリンクを張っておきますが獣医師のアドバイスを仰ぐようにしてください。
▽犬の癌に効果的なおすすめのサプリメント▽
⇒ アガリクスの3倍のβグルカン:ハナビラダケのサプリメント
癌の犬が食べてはいけないもの

バナナの写真
手作りのレシピやおすすめの療法食、サプリメントの紹介をしてきましたが、次は、癌の犬が避けるべき食べ物について説明するので、食事療法の参考にしてください。
砂糖と甘い食品
・砂糖はがん細胞は解糖系のものをエネルギー源として利用するので砂糖や甘い食べ物、高炭水化物の食品は食べてはいけないものになります。また、バナナのようなフルーツも消化しやすくビタミンやミネラルが豊富な反面、糖質が多く含まれるため、バナナは癌の犬にはおすすめできません。
高脂肪・高塩分の食品
・高脂肪や高塩分の食品は犬の健康に悪影響を及ぼす可能性があり、特に肥満や心臓病のリスクが高まります。
ショウガ、ニンニク、オニオン類
・ショウガやニンニク、オニオン類には硫化物が含まれており、犬にとって毒性があるため癌の犬に限らず犬が食べてはいけないものになります。
乳製品(ヨーグルトなど)
・一部の犬はヨーグルトなどの乳製品を消化しにくい場合があります。一部では善玉菌目的でヨーグルトが犬の癌に良いとうわさされているようですが、癌の犬にはヨーグルトなどの乳製品は避けたほうが良いでしょう。
グレープやレーズン
・グレープやレーズンは犬にとって中毒性があり、腎臓への影響が報告されています。
チョコレート
・チョコレートには糖質だけでなくテオブロミンという成分が含まれており、犬にとって中毒性があります。
カフェイン
・カフェインは犬にとって神経刺激作用を持つため、摂取は避けるべきです。
アルコール
・アルコールは犬にとって非常に危険であり、中枢神経系や消化器官に悪影響を及ぼす可能性があります。絶対に与えないでください。
生の肉や魚
・生の肉や魚には細菌や寄生虫が含まれている可能性があり、犬の免疫力が低下している場合は感染症を当面する可能性があります。
骨
・骨は消化に負担がかかるだけでなく破片となって消化器官を傷つける可能性があるため避けましょう。消化しやすい骨であれば、獣医師の指導に従って適量を考慮できる場合もあります。
添加物や香辛料
・加工食品に含まれる多くの添加物や香辛料は犬の胃腸に負担がかかることがあります。 自然な形で提供できる食材を選ぶことが良いです。
人間用の痛み止めや薬
・人間用の薬や痛み止めは犬にとって安全ではないことが多く、中毒や重篤な健康被害を招く可能性があります。
最も重要なことは、獣医師のアドバイスを仰ぎ、犬の健康状態と癌のタイプに合わせた食事療法プランを作成することです。前述した手作りレシピや療法食、サプリメントなどを参考に獣医師と相談してください。
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癌の犬に良い食べ物

ささみの写真
次は、犬の癌に良いとされる食材や理由をいくつか挙げてみましょう。ただし、これらも情報は一般的なものであり、犬の状態や獣医師の相談し、食事を選択することが重要です。
高品質のタンパク食材
・良質なタンパク質は癌治療中の犬重要です。 タンパク質は筋肉を維持し、免疫系を支える役割を担います。 鶏肉、魚、煮た牛肉など、消化しやすくして高品質なタンパク源を選びましょう。
抗酸化物質を含む食材
・抗酸化物質(ビタミンC、ビタミンE、セレンなど)は発がんを抑制する可能性があります。これらの成分を多く含む食材(例:ブルーベリー、スピルリナ、かぼちゃ)を適量摂取することで、免疫機能をサポートし、細胞のダメージを軽減する助けとなるかもしれません。
オメガ-3脂肪酸
・オメガ-3は炎症を軽減する脂肪酸、脂肪酸系を強化する助けとなる可能性があります。魚油や亜麻仁油などのオメガ-3を含む成分を検討してみましょう。
食物繊維豊富な野菜(さつまいも・かぼちゃ・ブロッコリー)
・食物繊維は消化をサポートし、便秘を軽減する助けになります。さつまいも、かぼちゃ、ブロッコリーなどの野菜を摂取することで、腸内環境を改善することはできないかもしれません。※さつまいも、かぼちゃ、ブロッコリーなどは茹でる蒸すなどの調理をし、適量を混ぜると良いです。
低糖質の食材
・癌細胞は通常、糖をエネルギー源として利用する傾向があるため、糖質を制限することが提案されています。
プロバイオティクスのサプリメント
・ 健康な腸内細菌は免疫機能を強化するため、犬用のプロバイオティクスのサプリメントを摂取することが有益かもしれません。獣医師の指示に応じて適切なプロバイオティクスを選択してください。
犬の癌には総じてバランスの取れた食事が重要。獣医師と協力して、犬の癌の状態に適した食事プランを作成しましょう。食事療法は個別のケースによって異なるため、専門家のアドバイスを受けることが必須です。
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癌の犬が食事を食べない理由を考える

寝転がる可愛い柴犬の写真
食事療法を行うにあたり、なんらかの理由でフードを食べない場合もあります。癌の犬が食事を食べない理由はさまざまなありますが、以下に考えられる主な理由をいくつか挙げてみます。
病状や治療の影響
・癌の進行や治療(化学療法、放射線療法など)によって、犬の不快感を感じることがあります。嘔吐、下痢、口内炎などといった症状にともなう食欲不振が考えられます。
痛み
・癌による痛みや不快感が、犬の食欲を低下させ食事を食べないことがあります。
ストレス
・新たな環境やルーチンの変化、病気の診断や治療に伴うストレスが、食欲を低下させ食べないこともあります。
匂いや味の変化
・犬は食べ物の匂いや味に敏感であり、癌や治療によって匂いや味が変わった場合には食事を拒むことがあります。
消化不良
・消化機能の低下や腸の問題によって、食べ物が消化されにくくなり、食欲不振が生じて食べない可能性があります。
心理的ストレス
・犬は時折心理的な関与によっても食欲を伴うことが起こります。たとえば、家族の不在や他の動物との関係が挙げられます。
年齢や健康状態
年齢や基礎的な健康状態も食欲に関係します。
嗜好の変化
癌の進行や治療によって、犬の嗜好が変化することがあり、以前好んでいたドッグフードを受け付けられなくなって食べないこともあります。
これらの理由は一般的なもので犬の個体差や病状によって異なる場合があります。 食事を食べない場合は、前述した手作りレシピや療法食、サプリメントなどを参考にして獣医師に相談し、適切なアドバイスを受けてください。
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犬の癌の症状や原因、予防法について
犬の癌は異常な細胞の増殖による疾患で、症状や原因、治療法は次のように要約できます。
癌が進行する犬の症状
犬の癌の症状は種類により異なりますが、一般的な症状には腫れ、しこり、不正常な出血、食欲不振、体重減少、慢性の疲労、嘔吐、下痢などが含まれます。症状はがんの進行度に応じて変化することがあります。
犬が癌になる原因
犬の癌の原因は多岐にわたり、遺伝的要因、環境要因、過去の疾患、年齢などが関与します。特定のがん種は特定の原因に関連しています。例えば、喫煙者の飼い主の犬は肺がんのリスクが高まることがあります。
犬の癌の治療法
犬の癌の治療法には手術、放射線療法、化学療法、免疫療法、対症療法など。治療法はがんの種類、進行度、犬の年齢、健康状態によって選択されます。手術によって腫瘍を切除することができる場合はそれが最も一般的なアプローチです。放射線療法や化学療法は腫瘍の縮小や制御に役立つとされます。免疫療法は免疫系を活性化させ、がん細胞に対する攻撃を強化する治療法です。また、症状の軽減や痛みの管理に対症療法が選ばれることもあります。
犬の癌は早期発見が重要であり、定期的な獣医の診察と異常を早めに報告することが大切。治療法は獣医師と相談し、犬の健康状態と病状に合わせて選択されるべきです。
症状や原因、治療法に関する詳細は以下の記事により詳しく説明しています。

まとめ
癌は犬の死亡原因のトップであり、食事療法は犬の癌治療のひとつと数えても過言ではありません。食事療法は初期でも末期でも重要な位置づけです。
獣医師と相談のうえ、愛犬の食事療法に取り組んであげてください。また、犬の癌では末期症状が出てからではなく、予防や早期発見が重要なのは他の病気と同じです。
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