犬の高脂血症とは、血液中の脂質(コレステロールやトリグリセリドなど)が正常値を上回る状態で、肥満や運動不足などがおもな原因にあげられます。様々な疾患のリスクを増加させ、動脈硬化や脳卒中などのリスクが高まる状態です。
手作り食や特別な栄養バランスのドッグフードを使った食事管理は、犬の高脂血症において非常に重要で、正しく食事を提供することで脂質の摂取を制御し、高脂血症の進行を防ぐことができます。このページでは食事のポイントや手作り食のレシピ、高脂血症向けに調整されたおすすめの療法食ドッグフードをご紹介します。
※知りたいことだけを素早く読むのであれば下記の目次をご活用ください。
高脂血症の愛犬に与える食事のポイント
まず、高脂血症になった愛犬に注意が必要な食事のポイントについて説明します。
低脂肪食な食事
・高脂血症の犬には低脂肪食が必要です。食事中の脂肪の割合を減らすことで脂質の摂取を抑制します。
質の良いタンパク質を含む食事
・タンパク質は必要な栄養素ですが、肉や魚の選択肢に注意が必要です。低脂肪で良質のタンパク源を選びましょう。
繊維質を含む食事
・繊維は脂質の吸収を抑制し脂質の排出を促進します。野菜や果物などの繊維豊富な食品を取り入れることが大切です。
カロリー制限をした食事
・過剰なカロリー摂取は肥満になり、高脂血症の悪化を招く可能性があります。適切な食事量を管理し適正体重を維持しましょう。
人間の食べ物に注意
・人間の食べ物は高脂肪であることが多いため、犬には与えないようにしましょう。 特に加工食品や脂肪の多い食材は避けてください。
定期的な獣医の診察
・食事管理だけでなく、定期的な獣医師の診察を受けて犬の健康状態を確認しましょう。
特別に栄養調整されたドッグフード(療法食)
・高脂血症を管理するための特別に栄養調整されたドッグフードや処方食があります。獣医師と相談して正しい製品を選びましょう。※手作り食のレシピやドッグフードについては詳しく後述します。
これらのポイントに従って、犬の高脂血症を効果的に管理し健康な生活をサポートしましょう。
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高脂血症の犬に適した食材の参考例

ささみの写真
次は、犬の高脂血症の食事に最適な手作り食のレシピや特別療法食のドッグフードについて説明する前に、高脂血症の犬に適した食材について、手に入りやすいものをご紹介しておきます
良質なタンパク源を含む食材
これらの食材は脂肪含有量が比較的低く、タンパク質を摂取しながらも脂質摂取を制限するのに役立ちます。
1,鶏肉(皮を取り除いたもの):
・鶏肉は比較的低脂肪で消化しやすいタンパク源です。
2,ターキー(皮を取り除いたもの):
・ターキーも鶏肉と同様に低脂肪のタンパク源です。皮を取り除いて提供するとより健康的です。
3,魚(特に白身魚):
・魚は健康な脂肪(オメガ-3脂肪酸)を含むたんぱく源ですが、白身魚種を選ぶと脂肪量を制限できます。
4,豆類:
・豆類は低脂肪でタンパク質を豊富に含んでいます。豆類を犬の食事に取り入れることで、バランスの取れた栄養を提供できます。
5,低脂肪の乳製品:
・低脂肪のヨーグルトやチーズはタンパク質を含み、脂肪の摂取を制限できます。 なお、乳製品にアレルギーがある場合は注意が必要です。
野菜や果物
犬の高脂血症を管理するために適した低脂肪で栄養豊富な野菜や果物をいくつかご紹介しますが、野菜や果物は特に、与える前に、量や調理法に注意が必要なので必ず獣医師に相談してください。
高脂血症の犬に適した野菜:
1,かぼちゃ:
・低カロリーで食物繊維が豊富なかぼちゃは、脂質摂取を制限しながら腸の健康をサポートします。
2,ほうれん草:
・ビタミンやミネラルが豊富で、低カロリーのほうれん草は健康的な選択肢です。
3,カリフラワー:
・カリフラワーは低糖質で食物繊維を含み、血糖値の上昇を助けます。
4,グリーンビーンズ(さやえんどう):
・低カロリーで消化しやすく、ビタミンやミネラルが補給されます。
高脂血症の犬に適した果物:
1,イチゴ:
・低カロリーでビタミンCが豊富なイチゴは抗酸化作用もあります。
2,ブルーベリー:
・ブルーベリーには抗酸化物質が多く含まれ血管の健康にも役立ちます。
3,ウォーターメロン:
・90%以上が水分であるウォーターメロンは低カロリーで、水分補給に適しています。
4,りんご(皮をむいたもの):
・りんごには食物繊維とビタミンが含まれており血糖値の安定を助けます。
これらの野菜や果物を犬の食事に取り入れる際は、適切なサイズに切り、調理したり皮を取り除いたりする必要があるので獣医師とのコミニュケーションが重要です。
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高脂血症を抱えた犬に最適な食事療法

鶏肉のスープのイメージ画像
食事のポイントや購入しやすい食材についてご紹介しましたが、次はこれらを踏まえた手作り食のレシピや、獣医師が認める高脂血症犬に最適な療法食のドッグフードをご紹介します。
犬の高脂血症に適した手作りフードのレシピ
まず、手作りで行う食事のレシピの参考例を3つ説明します。 これらのレシピは一般的な目安であり、個々の犬のニーズに合わせて調整することが大切です。獣医師と相談のうえバランスの取れた食事プランを作成してください。
手作りフードのレシピ1:鶏と野菜の低脂肪シチュー
使用する食材:
・鶏肉(胸肉もも肉):200g
・かぼちゃ:1/2カップ(皮を取り除いてカット)
・ほうれん草:1/2カップ(刻んで)
・カリフラワー:1/2カップ(小さな花房に分けて)
・低塩の鶏または野菜のブロス:1カップ
手作り食のレシピ:
・鶏肉を茹でてしっかりと調理し、皮や骨を取り込んでから細かく刻みます。
・野菜をブロスで煮て柔らかくなるまで調理します。
・鶏肉と野菜を混ぜて、低脂肪でバランスの取れたシチューにします。
食事手作りのレシピ2:白身魚と野菜の蒸し料理
使用する食材:
・白身魚(タラ、ハダック、ソールなど):200g
・グリーンビーンズ(さやえんどう):1/2カップ(飲む)
・人参:1本(皮を取り、薄切りにする)
・カリフラワー:1/2カップ(小さな花房に分けて)
手作り食のレシピ:
・白身魚を蒸して調理し、骨と皮を取り除いてから細かくほぐします。
・野菜を蒸して柔らかくなるまで調理します。
・魚と野菜を混ぜて、低脂肪で栄養豊富な蒸し料理にします。
手作りフードレシピの3: 野菜と豆のボウル
用意する食材:
・低塩の無塩缶詰の白いんげん豆:1/2カップ(水気を切る)
・かぼちゃ:1/2カップ(皮を取り除いてカット)
・グリーンビーンズ(さやえんどう):1/2カップ(飲む)
・ほうれん草:1/2カップ(刻んで)
・低塩の鶏または野菜のブロス:1/2カップ
手作り食のレシピ:
・野菜をブロスで煮て柔らかくなるまで調理します。
・野菜と白いんげん豆を混ぜて野菜と豆のボウルにします。
これらのレシピは食材の組み合わせの例であり、好みや健康状態に応じて調整できます。
犬の高脂血症におすすめな食事療法食のドッグフード
療法食と言われるドッグフードは犬の特定の健康状態に合わせて調整された栄養バランスを提供し、獣医の指導に基づいた栄養管理が簡単になります。
以下にご紹介するのは全て獣医師と動物栄養学の専門家による監修された、病気療法食と呼ばれるおすすめのドッグフードです。
みらいのドッグフード膵臓用(無添加・国産)
併発しやすい、犬の膵臓・膵炎・リパーゼ異常・クッシング症候群・甲状腺機能低下症を同時にケアできる高脂血症対策の療法食ドッグフードです。
和漢食材89種類を含む完全な無添加食材の国産ドッグフードで、製薬会社の強みを生かした病気対応の特別療法食は、口腔ケアによる感染予防や免疫力維持にも高い効果を発揮します。
ロイヤルカナン消化器サポートのドッグフード(フランス製)
ロイヤルカナンは全国の獣医師が処方する有名な療法食で、信頼と実績では抜群の安定感があります。高脂血症の犬に処方されるのは消化器サポートで、ドライだけでなく缶詰も用意されており歯周病があったりシニア犬にも安心です。消化吸収不良による下痢や高脂血症の犬専用の療法食ドッグフードになります。
ヒルズ消火器ケアのドッグフード(アメリカ製)
ロイヤルカナンと同ように獣医師がよく処方する療法食ドッグフードで、上記2種と同じように獣医師と動物栄養学の専門家が開発を監修しています。缶詰のウェットタイプもラインナップされているので噛むのが難しい、高齢で食欲が低下しているといったケースでも対応可能です。
高脂血症に与えるおやつについて
高脂血症の犬におやつを与える場合は注意が必要です。 高脂血症は、犬の血液中の脂質(脂肪)レベルが異常に高い状態。いつものおやつは犬の健康に悪い可能性があるため、食事と同じで注意点がいくつかあります。
以下は、高脂血症の犬におやつを与える際の注意点と、おやつに適したもののいくつかの例になります。
1,獣医師の指示に従う:
・まず最初に、高脂血症の犬の場合、どの程度の脂肪を摂取しても安全かを確認するために獣医師に相談しましょう。
2,低脂肪のおやつ:
・高脂血症の犬には、低脂肪のおやつが適しています。 市販の低脂肪の犬用おやつや、自家製の低脂肪のおやつ(例:焼いた鶏の胸肉)などがいいです。
3,野菜やフルーツ:
・野菜やフルーツは、低脂肪でヘルシーなおやつの選択肢。 なお、一部のフルーツ(例:アボカド)は高脂肪なので避けるべきです。 安全な選択肢としては、リンゴやニンジンなどが挙げられますあります。
4,穀物製品に注意:
・一般的なドッグビスケットやトリーツは通常脂肪が含まれています。低脂肪のバリエーションを選ぶか、脂肪が制限されているところを確認しましょう。
5,与える量を管理する:
和漢おやつ・和漢サプリ
・おやつは食事の一部として与えられるため、過度に与えないようにしましょう。
高脂血症の犬の健康を維持するためには、食事に注意を払い、おやつを選ぶ際にも慎重に検討することが大切です。必ず獣医師のアドバイスを受けることをお勧めします。
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高脂血症の犬に効果的なサプリメントの考察
犬の高脂血症に対するサプリメントの使用についても、まず最初に獣医と相談することが重要です。獣医は犬の健康状態を評価しチョイスしてくれるので、個別に効果的なサプリメントの種類と投与量のアドバイスを受けましょう。
一般的に高脂血症の犬に効果的なサプリメントの例は以下の通りです。
1,オメガ-3脂肪酸:
・オメガ-3は、炎症を軽減し、血液中の脂質レベルを管理しやすくなります。魚油サプリメントや特別なオメガ-3製品が利用可能です。
2,ナイアシン:
・ナイアシンは脂質代謝を改善し、高脂血症の犬の症状を緩和する可能性があります。
3,コエンザイムQ10:
・コエンザイムQ10は抗酸化物質で、心臓の健康をサポートし高脂血症のリスクを軽減する可能性があります。
4,レシチン:
・レシチンは、脂質の代謝をサポートし、コレステロールの排出を助ける役割があります。
改めて強調しますが、高脂血症の犬に対するサプリメントの使用については、必ず獣医師に相談するのがおすすめです。
犬が高脂血症になる原因や症状、おもな治療法について
最後に、犬の高脂血症の原因と高脂血症を疑う症状についての説明と、おもな治療法について説明します。
犬の高脂血症の原因
犬の高脂血症は、高い脂質(脂肪)レベルが血液中に存在する状態です。主な原因は以下の通りです。遺伝的要因、肥満、高脂肪の食事、不足、内分泌異常、糖尿病、副腎機能低下などがあります。
高脂血症を疑う犬の症状
高脂血症の症状は無症状であることも多いですが、進行すると心臓病、膵炎、脳卒中、動脈硬化などの合併症が発生する可能性があります。増加、体力低下、腹痛などが含まれます。
一般的な治療法
主な治療法は、
○正しい食事管理(食事療法):
・低脂肪食を与え、肥満や運動量を管理します。詳しくは前述してきたとおりです。
○犬に適した個別の運動や投薬治療:
・必要に応じて薬が処方され、コレステロールやトリグリセリドの制御が目的の治療法になります。
高脂血症は慎重な管理が必要な疾患であり、獣医師の定期的なフォローアップと指導の下で治療が行われます。もっと詳しく知りたい場合は下記のページをご覧ください。
まとめ
高脂血症になった犬の食事ポイントや手作り食、特別に栄養調整したドッグフードをご紹介させていただきました。高脂血症を放置すると甲状腺機能低下症やクッシング症候群、糖尿病や膵炎など、さまざまな病気に発展するため、食事管理での予防や早めの対策が重要です。
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高脂血症の犬が併発しやすい合併症について
犬が高脂血症を起こしている場合、進行すると様々な合併症を引き起こすケースが少なくありません。合併症の食事療法には共通点が多いですが、とうぜん相違点もあります。
以下に高脂血症の犬が併発しやすい病気の食事やドッグフードについて詳細をまとめていますので、すでに合併症がある場合や心配なかたは是非ご覧になってみてください。
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