犬の心臓病は、癌に次いで犬の死亡原因の2位に位置する疾患で、10歳を超える老犬に多いという統計が出ています。例えば「僧帽弁閉鎖不全症」のような疾患が含まれ、「心不全」、「心臓肥大」、および「心雑音」といった症状も一般的。 また、「肺水腫」や「腎不全」といった合併症を伴うことも多く適切な治療を行う必要があります。
愛犬が心臓病になった場合、投薬での治療も必要になることがありますが、初期でも末期になってしまっていても共通する治療の主軸ともいえるのが食事制限を含めた食事療法です。
ここでは食事療法を行う際のポイントや手作り食のレシピ、獣医師が推奨する心臓病の犬に適した食事療法食のおすすめドッグフードや食べてはいけないものについて詳しく解説します。併発しやすい腎臓病とかかわるお話もさせていただくので心臓病になった愛犬の食事療法で何かしらお役に立てれば幸いです。
心臓病がある犬の食事療法のポイントをチェック
犬の心臓病の食事療法にはいくつかの重要なポイントがあります。 以下に、心臓病を持つ犬の食事療法で注意すべきポイントを挙げていますが、犬の状態や症状に応じて個々の犬に合わせた食事プランを立てるためには、獣医師の指導を仰ぐことも重要だということは覚えておいてください。
低ナトリウムの食事
心臓病の犬の食事は、体内の水分バランスをうまく調整できないため、水分バランスを改善し、心臓への負担を軽減するため低ナトリウム(塩分控えめ)な食事にすること。心不全の症状を穏やかにします。
必要な栄養素のバランス
犬の健康を維持するために必要な栄養素(たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルなど)を含む特別な食事の栄養バランスが大切です。
小分けでの給餌
犬の心臓病の食事は1回の食事量を複数回小分けにして負担を軽減しましょう。
体重管理
心臓病の犬は肥満になりやすいため、正しい体重管理が重要です。獣医師と相談しながら適切な体重を維持できるような食事を考えてください。
必要に応じたサプリメント
犬の心臓病には、心臓の健康をサポートするため食事とは別に特定のサプリメント(例:タウリン、カルニチン、オメガ3脂肪酸)が処方されることもあります。
食事の管理と記録
心臓病の犬の食事はその日の体調によって調整が必要な場合があります。 食欲、水分摂取、排泄などの健康状態を記録しておき、獣医師と定期的に相談しましょう。
これら食事のポイントに留意することで、心臓病の犬の食事療法がより効果的になります。具体的な食事プランについては、必ず獣医師の指導を仰ぐようしてください。
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犬の心臓病の食事を手作りする食材と塩分を控えたレシピ

シーズーの元気な写真
心臓病の犬の食事の手作りは、獣医師の指導を仰ぎながらバランスをとった栄養の食事を提供することが重要です。以下は心不全の症状を抑える一般的な手作り食のレシピ例ですが、犬の個々の状態によって適切な食材が異なることもご理解したうえでご参考になさってください。
手作りレシピ①野菜とチキンの手作りごはん
【食材】
・皮を取り込んだ鶏肉(胸肉・ささみなど):150g
・野菜(人参、ズッキーニ、かぼちゃなど):適量
・白米:1/2カップ(炊く前の量)
・水または低ナトリウムの無塩野菜/鶏肉のブロス(だし汁):適量
【手作りごはんのレシピ】
・鶏肉(胸肉・ささみなど)を茹でて、皮と骨を取ります。肉は小さなサイズに切ります。
・野菜を洗い、皮を取り除いて適切なサイズにカットします。
・白米を炊飯器で炊きます。炊く前に水を使って洗ってください。
・必要に応じて鶏肉のブロスを加えて濡らします。
食事手作りのレシピ②サーモンとサツマイモの手作りごはん
【食材】
・サーモンフィレ(骨なし、皮なし):150g
・サマイモ:1個
・ほうれん草:適量
・白米:1/2カップ(炊く前の量)
・水または低ナトリウムの無塩野菜/魚のブロス(だし汁):適量
【手作りごはんのレシピ】
・サーモンを蒸して、骨と皮を取り除きます。身を小さなサイズに切ります。
・サマイモを洗い、皮を取り除いて適切なサイズにカットします。
・ほうれん草を洗って刻みます。
・白米を炊飯器で炊きます。炊く前に水を使って洗ってください。
・炊いた米と野菜を混ぜ、サーモンを加えてよく混ぜます。必要に応じて魚のブロスを加えて濡らします。
手作り食事のレシピ③: 鶏と野菜のシチュー
用意する食材:
・鶏の胸肉 200g
・野菜(例: にんじん、ほうれん草、サツマイモ) 200g
・白いごはん 1/2カップ
・低塩の鶏のスープ 1カップ
手作りごはんのレシピ:
・鶏の胸肉を切り、薄く茹でて脂を取り除きます。
・野菜を切り、サツマイモは茹でて潰します。
・低塩の鶏のスープを用意し、一緒に鶏肉、野菜、サツマイモを鍋に入れます。
・中火で煮て、野菜が柔らかくなるまで調理します。
・ごはんを加え、全体がよく混ざるまで煮ます。
このレシピは心臓病の犬に適した低塩食です。野菜はビタミンと食物繊維を提供し、鶏肉は良質のたんぱく質源です。
食事の手作りレシピ④: ささみとかぼちゃのソフトフード
用意する食材:
・ささみ肉 150g
・かぼちゃ 100g
・うずらの卵 2個
・野菜(例: ブロッコリー、ほうれん草) 100g
・低塩の鶏のスープ 1/2カップ
手作りごはんのレシピ:
・ささみ肉を茹で、脂を取り除き、細かく切ります。
・かぼちゃを茹でて柔らかくし、つぶします。
・うずらの卵を茹でて細かく刻みます。
・野菜を切ります。
・低塩の鶏のスープを用意し、ささみ肉、かぼちゃ、うずらの卵、野菜を混ぜます。
・全体が均一に混ざるまでよくかき混ぜます。
このレシピも低塩分で、かぼちゃはカロテンを提供し、うずらの卵はたんぱく質を補給します。ささみ肉も低脂肪でたんぱく質が豊富です。
※犬の心臓病に合わせ、塩分を抑えた手作り食はネット注文も可能、こちら⇒ 心臓病の犬の手作り食
心臓病の犬の食事は個体差や健康状態に合わせて食事を調整し、必ず獣医師のアドバイスに従ってください。また、栄養補助食品を検討する場合もあります。
犬の心臓病に最適化した食事療法食のおすすめドッグフード
心臓病の犬の食事療法には、手作り食か食事療法食のどちらかを選択します。 手作り食は臨機応変な対応が可能で新鮮な食材を使えますが、心不全を予防するためには栄養バランスや時間・労力の面でそれなりの知識が必要です。
一方、療法食は栄養バランスが保証され確立されたレシピがあるので手作り食が難しい飼主さんは世界の獣医師が推奨する食事療法食がおすすめです。腎臓病など合併症にある場合も同時ケアが可能なロイヤルカナンやヒルズ、みらいのドッグフードなど獣医師が推奨するものがいいでしょう。
みらいのドッグフード心臓用がおすすめ
みらいのドッグフードは腎臓病や甲状腺機能低下症、クッシング症候群などにも対応した11種類の食事療法食を提供しており、和漢食材をもちいた漢方レシピに高級シカ肉や鮮魚など臨床栄養を満たす国産の病気対応ドッグフードです。
みらいのドッグフード心臓用は、僧帽弁閉鎖不全症や心臓肥大、肺水腫などの心臓病では負担を減らすため血液循環を健康に保つことが大事。
犬の心臓病と併発する可能性がある疾患に対しても有効で、難消化性のタンパク質、脂質、銅、ナトリウムの制限、高消化性タンパク質、必須脂肪酸(オメガ3)タウリン、Lカルチニン、亜鉛、鉄分等を調整。さらに、口腔ケア用の食べる歯磨きパウダーが付属しています。
ロイヤルカナンの心臓病犬むけ食事療法食
ロイヤルカナンはフランス発のペットフードブランドで、獣医と栄養士との協力によりペットの健康と栄養をサポートする高品質の食品を提供しています。専門的な療法食もあり、特定の健康状態に対応した栄養バランスで、ペットの健康を重視した製品展開が特徴です。
ロイヤルカナナンの心臓サポートは犬の心臓病の食事に特化した食事療法食。 低ナトリウムで心臓に負担をかけず、高品質なたんぱく質を含み筋肉の健康をサポート。 抗酸化成分やオメガ3脂肪酸が心臓機能を助け老犬にも適しています。
ヒルズの心臓病犬むけ食事療法食
ヒルズ(Hill’s)も獣医師と栄養士との協力により開発された優れたフランス製のペットフードブランドです。科学研究に基づいた栄養バランスを提供し、ペットの健康を重視した心臓病を含む様々な健康状態に対応した食事療法食をラインナップしています。
腎臓・心臓病の健康維持に配慮し、ナトリウムとリンの量を調整した療法食など年齢や犬種に合わせて選べるので犬の心臓病の食事療法に最適です。

心臓病の犬の食事で食べてはいけないもの

元気に散歩する柴犬の写真
犬の心臓病の食事で食べてはいけないものは以下のような食べ物があります。 これらの食べ物は心臓や体調に悪影響を及ぼす可能性があり心不全の症状を悪化させる可能性がため食べてはいけないものです。
高ナトリウム(塩分の多い)の食品
塩分が多く含まれる食べ物は、水分の不足を促進し、心臓病の犬に負担をかける可能性があります。高塩分の食事は心臓病の犬がたべてはいけないものの代表格となります。
脂肪の多い食品
高脂肪の食べ物は肥満を促進し、心臓への負担を増加させ心不全を悪化させる可能性があります。 特に食事に多くの飽和脂肪やトランス脂肪酸を含む食品は心臓病の犬の食事で食べてはいけないものです。
チョコレート
チョコレートに含まれるテオブロミンは犬にとって毒性があり、心臓への負担を増やす可能性があります。 特にダークチョコレートやビターチョコレートには高濃度のテオブロミンが含まれているため、絶対に食べてはいけないものです。
コーヒーやカフェイン飲料
カフェインは犬にとっては有害で、心臓の鼓動や興奮を考える可能性があります。コーヒーや紅茶、エナジードリンクなどのカフェイン飲料は絶対に食べてはいけないものになります。
オニオン、ニンニク、レーズン、ぶどう
オニオン(玉ねぎ)とニンニクには犬にとって有害な成分が含まれており、赤血球の破壊や貧血をおこす可能性があります。また、レーズンとぶどうには腎臓への悪影響があることが報告されています。これらは、健康な犬においても食べてはいけないものとして、愛犬家ならみな知っていることです。
アルコール
テレビやネットで犬にお酒を飲ましている映像を時々見かけますが、アルコールは犬にとって非常に有害で、心臓や神経系に重大な危険があり心不全の深刻な症状をおこす可能性があります。心臓病の犬には絶対にアルコールを与えないでください。
生肉や生魚
生の肉や生魚といった食べ物は細菌や寄生虫のリスクがあるため、心臓病の犬の食事には避けるべきで食べてはいけないものとして覚えておきましょう。
レバー
一般的に、レバーは高タンパク質で栄養価が高く、鉄分やビタミンA、ビタミンBを豊富に含んでおり、健康的な栄養源になりますが、心臓病の犬に対しては塩分が多く、ビタミンAの摂取制限が必要な必要なため、レバーは食べてはいけないものです。ただ、降圧剤利尿剤を服用している犬はカリウムやナトリウムを大量に排出し不足するので、その場合にはレバーを与えることもあります。
これらの食べ物は心臓病の犬にとって健康に悪影響を及ぼす可能性があり心不全の症状をを進行させるため、食べてはいけないものになります。また、新しい食材を導入する場合は、必ず獣医師にご相談し正しい食事療法のプランを立ててください。
犬の心臓にいい食べ物の具体例
次は、逆に犬の心臓病を考慮した、犬の心臓にいい食べ物を紹介します。心臓病の犬には特定の栄養素や成分を含む食べ物を選ぶことが大事です。以下に、犬の心臓の健康に役立つ具体的な食べ物の例を紹介します。
低ナトリウム(低塩分)な食べ物
塩分の多い食べ物は血圧を上昇させ、心臓に負担がかかります。犬の心臓病の食事では、塩分を避けた食べ物か、鶏の胸肉、野菜(きゅうり、ほうれん草、トマトなど)、白身魚、さつまいもなど、塩分の少ない犬の心臓にいい食べ物を選びましょう。
オメガ-3脂肪酸
オメガ-3脂肪酸は心臓病にいい栄養素とされており、特に魚油(サーモンやマッカレルなど)、亜麻仁油、チアシードなどが含まれています。
鶏肉や魚
低脂肪のタンパク質源として、心臓にいい食べ物です。新鮮な鶏肉や魚を犬の食事の主菜にするのが推奨されています。
ビタミンE
ビタミンEは抗酸化物質であり、心臓の健康をサポート。アーモンドやひまわりの種、ほうれん草などに多く含まれています。
カリウム
カリウムは心臓のリズムを調整し、正常な筋肉制限に必要です。バナナやさつまいもなどの食品に含まれています。
適切な食物繊維
かぼちゃ、さつまいも、にんじん、ブロッコリー、カリフラワーなど、適度な食物繊維は体重管理と脂質のコントロールに使えることがあり、犬の心臓にいい食べ物です。
食事のポイントでも少し書きましたが、心臓病の犬の食事では、高脂肪、高塩分、高糖分の加工食品は避け、新鮮な食材を選んで手作りごはんをつくるか、犬の心臓病に配慮して作られた食事療法食のドッグフードが推奨されます。
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心臓病に注意が必要な犬種について

ぽっちゃりしたロングコートチワワの写真
特定の種類の疾患に対して遺伝的に影響を受けやすい場合があります。以下はいくつかの心臓病に関連する犬種と疾患名です。
僧帽弁閉鎖不全症(MVD) になりやすい犬種
・キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
・チワワ
・ダックスフント
拡張型心筋症(DCM) になりやすい犬種
・ドーベルマン・ピンシャー
・ボクサー
・ゴールデン・レトリバー
肥大型心筋症(HCM) になりやすい犬種
・メインクーン
・ノルウェージャンフォレストキャット
・マンチカン
これらの犬種は心臓病にかかりやすいとされていますが、遺伝による影響や個体差によっても影響が起こる可能性があります。
心臓病の犬が表す症状やその原因、治療法について
心臓病の犬は心不全など、さまざまな症状を示す可能性があります。犬の心臓病のことを把握するため、心不全などの主な症状、原因、治療法を以下にまとめます。
心臓病の犬が示す症状
まず、犬の心臓病であらわれる主な症状が以下になります。
・呼吸困難、咳、くしゃみ、またはゼイゼイとした呼吸。
・食欲不振、体重減少。
・体力低下。
・運動時のぐったり感。
・腹部膨満感。
・けいれん、意識喪失(進行すると発生することがある)。
・心不全
犬が心臓病になる原因
次に、犬が心臓病になる一般的な原因が以下になります。
・ディルアテーション性心筋症や僧帽弁逆流症など、心臓の構造や弁の問題。
・心臓弁膜症。
・感染症。
・高血圧、甲状腺異常、肺疾患、腎臓病など、他の健康問題。
犬の心臓病のおもな治療法について
最後に、心臓病の犬に対する一般的な治療法をまとめています。
投薬療法:
・心臓の負担を軽減し、症状を管理するために利用されます。ACE阻害薬、利尿薬、デジタリス製剤などが一般的です。
活動制限:
・心臓の負担を減らすために、犬には軽い運動制限が必要です。
食事療法:
・心臓病用の特別な食事やサプリメントを検討し、体調管理を行います。※詳細は前述した食事療法です。
以上が犬の心臓病における症状や原因、治療法についてです。これらをもっと調べたい場合は、更に詳しくまとめたページがありますので、巻末のリンクからご覧ください。
症状や原因、治療法についての詳細は「犬 心臓病 症状・原因・治療」のページをご覧ください。
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心臓病の犬の食事は併発しやすい腎臓病など、他の病気にも注意

ミニチュアダックスの画像
心臓病の犬では心臓がうまく機能せず血液循環が乱れるため、腎臓に正く血液が供給されなくなることがあります。心不全は体内の水分バランスが崩れ負担がかかるため腎臓病を併発することが多いわけです。
また。心臓病の治療に使用される一部の薬剤が腎臓に関わる場合もあります。このため、心臓病の治療を行う際には腎臓病にも特別な配慮が必要。さらに腎臓病のほか、甲状腺機能低下症やクッシング症候群、犬膵炎や高脂血症なども合併症として発症しやすい病気です。
詳しくは「犬 甲状腺機能低下症 食事 手作りレシピや食べてはいけないもの」と、「犬 クッシング症候群 食べてはいけないもの」、
それに「犬の膵炎の食事・手作りのレシピ」、さらに「犬の高脂血症で欠かせない食事の手作りレシピ」にそれぞれ詳細をまとめていますのでご覧ください。
さまざまな病気に対応したそれぞれの療法食のおすすめを調べたい場合は犬の療法食のおすすめ通販がページを参考になります。
まとめ
犬の心臓病は食事療法がとても重要です。治療と適切な食事療法ができれば健康状態がよくなり長生きできるようになります。
飼主さんならみな同じですが、愛犬には元気で長生きしてもらい寿命を全うしてほしいと思うはずです。紹介した手作りのレシピや食事療法食を参考にして、獣医師と相談しながら適切な食事療法を行ってあげてください。
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犬の心臓病は早期に見つけるのが大切
犬の心臓病はステージ4の末期までいくと余命が短くなり対処療法が中心となりがちです。できればなるべく早く見つけてあげることが以後の治療や食事療法にも好影響をもたらします。症状や原因、治療法をまとめているので下記ページもご覧ください。

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